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共同研究紹介


基盤研究(A)「アメリカの世界戦略と文化外交に関する学際的研究」

研究代表者:能登路 雅子

 本研究の目的は冷戦期から現在にいたるアメリカ合衆国の世界戦略における文化外交の実態をその多元性、多層性において解明することにある。平成15年度から18年度にかけて行なわれた基盤研究(A)「アジアにおけるアメリカ文化外交の展開と変容」の研究過程で生じた新たな課題について、最新の動向を踏まえてさらに発展させたい。 その第一は近年、外交・政治・学問の世界で文化外交強化の必要性が広く議論されるなかで改めて注目を浴びている冷戦期の米国文化政策に関する多層的な研究であり、第二は文化外交の担い手としての影響力を拡大している企業、財団などの民間セクターと文化のグローバル化との連関である。また、一定の政策目標を有する文化外交が実践の場で、また長期的にどのような文化変容や社会変化をもたらすかを分析する際の要として、当事者の主体的なエイジェンシー機能に注目することによって、文化外交が一国の国益を超えた文化創造の装置として働く実態およびその限界を解明したい。  メンバーとしては本学のアメリカ研究者シーラ・ホーンズ、矢口祐人両氏、日米知的交流史を専門とする藤田文子氏、公民権運動と第三世界との関係を論じる梅ア透氏が参加するほか、近年、再発見されたGHQによる教育映画の分析を進めている吉見俊哉、谷川建司、土屋由香氏らが特に外交と大衆文化の接点に関する研究を担当する。アメリカからは海外研究協力者としてThomas Zeiler, Susan Smulyan, Penny Von Eschen, Patricia Steinhoff氏らの支援を得て、文化外交というテーマを歴史学、人類学、社会学、文化地理学など諸分野の知見を動員した学際的な地域文化研究として体系化したいと考えている。


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