cpas

共同研究紹介


アジアにおけるアメリカ文化外交の展開と変容

研究代表者:能登路 雅子

 本研究は、第二次大戦後、アメリカが積極的に推し進めてきた文化外交の構造と実態を日本を中心としたアジア地域における社会変化との関連において分析することを目的とする。特に情報革命を背景に階級や民族、言語、学歴の差異を吸収しつつ広範な層に訴える大衆文化の領域における米国の製品やシンボルの役割に注目し、米国の連邦政府、財団、教育団体、宗教団体などの民間機関、ハリウッドを代表とする文化産業が時として緊密な連携をとりつつ文化外交を展開してきた実態を明らかにしたい。冷戦終結、国家主権に代わる世界市場の拡大、米国内の多文化主義の進行、アメリカに対する対抗イメージの生成という近年の潮流変化のなかで、個人の自由、消費主義とアメリカ型資本主義をリンクさせつつ米国の政治的権益を拡大してきたメカニズムがどのような変容を遂げているかをめぐり、本研究では文化と政治の連関をより多元的に捉える理論的枠組みを発展させ、アジアにおける現状分析の成果を他地域を対象とした今後の比較研究に資するプロトタイプとして広く発信したい。


戻る