文部省科学研究費補助金「特定領域研究(B)」



生態系・環境保護班 1999年度活動概要・研究会議事録


1999年度活動概要

本年度の研究集会は、「研究の計画と方針」(松原,第一回)、「日米および途上国におけるエネルギー消費の比較研究」(小宮山、第二回)、「わが国へのインパクトも見られる1980 年代以降米国環境政策の事例と世論の構造」(細野、第三回)、「北米地域研究における環境主義インパクト:五大湖・セントローレンス川水域を中心に」(和田飛鳥 第四回)を行った。また全体集会では「アメリカ環境法の特徴と背景」(北村、第二回)、「アメリカ合衆国の環境政策をめぐる世論と専門家意見の乖離に関する事例研究」(細野、第三回)を行った。

以上の研究の目的は、アメリカ合衆国の最近の環境政策のリアルな現実の姿をとらえ、それのアメリカ的特質およびその他国への移転可能性を評価することである。現在のところその理想と現実との緊張関係あるいは地域的特性から、政策は必ずしもそのまま移転可能とは思われないが、環境規制などの政策理念の斬新さは長期的にはアジア太平洋各国への有効な指針となることが示唆された。

1999年度研究会議事録
凡例:1)会議あるいは報告タイトル、2)報告者、3)日時、 4)場所、5)コメンテイターなど、6)会議の概要

第1回

1)わが国へのインパクトもみられる1980 年代以降の米国環境政策の事例と世論の構造

2)細野豊樹(共立女子大学)

3)1999 年10 月22 日

4)学士会館分館

6)概要:

環境リスクに関するEPA 報告書および地球温暖化防止京都会議をめぐる米国メディア報道and/or 野性生物保護の域外適用とWTO の問題を米国世論の構造とからめた分析を紹介。

太平洋地域変動の科研費の横断的切り口(アジア太平洋への米国の影響)と、内政の比重が大きい米国環境政策研究とをどう関連付けるかという問題に取り組む。


第2回

1)北米地域研究における環境主義のインパクト:五大湖・セントローレンス川水域を中心に

2)和田飛鳥(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程)

3)1999 年11 月19 日

4)学士会館分館

5)出席者:7 名

6)概要:

アメリカ・カナダの国境隣接地域である五大湖・セントローレンス川沿岸地域諸州では、近年、その州際的な環境保護協力活動が積極的になっている。

これを地域研究の立場から見ると、これまでのアメリカ、カナダという国別の「地域研究」(実質的には国家研究)ではとらえきれない動きとして注目すべきではと思われる。